現在、サルバニーニのパネルベンダーは世界シェアの80%を占めるようになりました。
中国の大量生産(MTS生産)、日本や欧州で主流のMTO生産、カンバン生産と、多種多様の生産状況や生産方法があるなかでこれほどの圧倒的シェアを取れていることは、板金加工機械としては異例のことと言えます。
それではなぜ、サルバニーニ製パネルベンダーは世界シェア80%を達成できたのでしょうか?
今回は20年サルバニーニ社の販売に携わってきた担当者の視点からお話したいと思います。
「パネルベンダーに興味はあるけどよく知らないな、なぜ世界中で導入されているのだろう?」と疑問に思っている方はご参考にしてみてください。
理由1) 他社に先立ったデジタル化
ここ10年、世界では急速な勢いで生産に関する事柄のデジタル化が進んでいます。
デジタル化とは具体的には遠隔管理システム、IoTシステム、スマートファクトリー化…などを指します。
サルバニーニパネルベンダーは、他社に先駆けて高度な遠隔管理システムを無償で提供しております。
例えばEASY DATAソフトウェアは、万が一トラブルが発生した場合、どこの場所が不具合を起こしているのか?場所はどこであるのか?を操作モニターで確認でき、モニター上でバーチャルにてシーケンスのON・OFFが出来る機能を搭載しています。
この機能のおかげで、機械に不具合が発生しても他メーカーの様に不具合部分を探して機械の下を確認したり、動いている機械の近くでの危険を伴った確認作業を行う必要がありません。
また、夜間のソフトウェアアップデートやバグ修正にも対応ができます。
このように、作業者の安全確保という一番重要な要素を確保しつつ不具合場所の特定が出来る機械なので、安全基準が厳しい欧州でも安心して採用して頂いています。
また、IoT、スマートファクトリーにもオープンシステムでの柔軟な対応をしております。
理由2) ユーザー目線にこだわった標準装備
理由1でデジタル化のお話をしましたが、現代の高度なデジタル化に対応するべく、マンパワーが製品を間違えて機械へ投入しても板厚・材質・製品寸法を機械が確認して、指定されたプログラムと1つでも異なると一時停止をし確認を促す機能を標準で搭載しています。この点は、他社にはない特筆するべき機能です。
また現在は更に進化を遂げ、例えば10枚加工する際に3枚目からコイルが異なる材料が投入されても、機械がそれを瞬時に判断してその材質に合った曲げ加工軌道に修正出来る機能である「MAC2.0」を搭載しています。
プレスブレーキに搭載されている、角度をレーザーで確認する様な装置であるとその計測に時間がかかりますが、このMAC2.0であれば1秒で確認を行えるので、殆ど加工時間に影響しない様になっています。
この様に、パネルベンダーは最低限必要な精度への機能は標準装備として搭載しています。
また日本のお客様からよく質問されるステンレス材のタテ目、ヨコ目での抗張力の差も確認する事が出来ます。どの機能も必要であるからこそ、オプションという選択肢ではなく標準装備となっております。
理由3) 経済面・環境面に配慮した設計
コスト及び地球環境面では、10年前の機械から比較すると約65%近い電力消費量の削減を実現し、油圧システムの合理的な部分(所謂パスカルの原理)を残しつつ油圧回路を無くして、さらに部品点数も約17%削減しました。
また、サルバニーニパネルベンダーは当然の事ながら欧州安全基準のCE規格を取得しています。
近年ではCEマーキングは安全性能の他に環境性能基準の適合を示すようになって来ております。
厳格な基準の機械は全てパネルで囲われ、機械稼働時に機械内へ立ち入る事が出来ない機構となっており、他の機械の様に挟まれ事故、機械稼働部分との接触事故は皆無です。ましてや重大事故、死亡事故などは絶対に発生しない安全な機械となっています。
CEマーキングの条件の一つに「製品の消費者、使用者が同じレベルの健康、安全、環境に関する保護を享受できるようにすること」がありますので、サルバニーニ社製のパネルベンダーでは労働災害は勿論の事、通常作業時にも作業者の安全を最優先した機械となっています。
この様な機能や安全に関する機構、考え方はサルバニーニの企業姿勢でもあります。
そういった安心感も含めてデジタル化が急速に進み、地球環境への配慮も出来る機械であるからこそ先進国から発展途上の国まで導入が進んでいるのだと思います。
理由4) 時代の流れに影響されない、いつでも誰でも扱える汎用性
従来では作業者の力量に頼りがちであった「曲げる」という作業が、初心者でも女性でも誰でもが作業出来、同じ品質の製品がプレスブレーキでの加工時間とは比較にならないほどのスピードで加工する事が出来ます。
当然、難しい加工形状の要求や接続依頼、ユーザーの希望する寸法、生産方式もクリアした結果でないと80%ものシェアは獲得出来ません。
但し、専用機化する事無く、汎用機であり続けなければならないとも思っています。
現在生産している加工品も当然の事ながら大切ですが、今後この情報化と急速な物の変化では、5年後には全く異なる製品の製作が必要となると考えるからです。
今から10年前、誰がこれだけのモバイルパソコンの普及とiPhoneやiPadなどの小型電子機器が普及すると考えていたでしょうか?
今やパソコンを置くスペースは1台だけが鎮座するパソコンラックではなく、多くのパソコンを収納するパソコン収納ロッカーが主流となり、新聞やはがき、手紙あるいはダイレクトメールを入れていたポストが宅配ロッカーとして小から大へ変更する事を、多くの人は予測していなかったと思います。
その様な時代の変化の中、専用機では加工する枚数・品種・サイズも専用となってしまい、場合によっては早さが売りの専用機が段取りや加工制限のため使用する事自体が厳しくなる危険性が出てきます。
特にこれだけのスピードで世の中が変化して行く事を考えれば、その危険性は危険性ではなく確実に予測出来るものとなると思います。
これからも進化していくパネルベンダーは決して専用機ではなく、時代に合う生産が出来る汎用機として進化し続けると思います。
その汎用機で80%のシェアを頂いたサルバニーニだからこそ、サルバニーニのマシンを持っていない他社と差別化が出来る提案をこれからもして行きたいと考えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はサルバニーニパネルベンダーが世界80%シェアをもつ理由として、デジタル化、ユーザー目線、環境への配慮、時代に影響されない汎用性、4つのポイントをお話致しました。
少子化が進み、熟練技術者が減少している日本にとって、またコロナ禍で先が読めない時代の今だからこそ、いつでもだれにでも扱えるパネルベンダーを導入検討するチャンスです。
少しでも多くの板金加工業従事者の皆様が、より安全で効率的な生産を行えるように、サルバニーニのパネルベンダーはこれからも進化し続けます。
皆様からのご相談、お問い合わせをお待ちしております。